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2021.12.25

空き家の名義変更を早めに行うべき理由

古い不動産や空き家・空き土地の中には、名義変更をしないまま長年放置されているものがあります。どうせ使っていないからと、名義変更を怠っていると、思わぬところでトラブルが発生し、知らぬ間に負債を抱えることにもなりかねません。

今回は、「空き家をゆずってください.com」の登記のプロ・水谷が、実際のトラブルを例にあげながら、所有者不明の不動産のリスクをお伝えします。

空き家・空き土地の登記トラブル

不動産の売買や相続の際に必ずついて回るのが不動産の名義変更。不動産が誰の所有物に変わったのかを公的に記録するのが不動産登記であり、司法書士として活動する、私、水谷の専門分野でもあります。しかし、空き家や空き土地の登記では、登記が一筋縄では行かないケースがしばしばあります。

たとえば、「家や土地の権利書がない」「残置物が多すぎて処分できない」「共同名義の片方の所有者がなくなってしまっている」などの場合です。中には「面倒だから名義変更をしないで不動産を持ち続けている」という方や、「どうせ問題が解決できないから」と登記をわざと放置している人もいますが、経験豊富な司法書士に依頼すれば、時間がかかっても問題解決の糸口がつかめ、正式に登記に至ることがほとんどです。

不動産の名義変更をしていない場合、いざ手放そうと思っても、自分の名義でない限りは不動産を売買することができません。また、登記上の所有者が死亡している場合、その物件は所有者不明の不動産ということになります。何もしないで放置している所有者不明の空き家の場合、水面下で深刻なトラブルが進行していてもなかなかわからず、最終的に大きな問題になってから、一度に問題が噴出することがあります。そして、登記はしていなくても、その物件の相続人の一人であると見なされた場合、思わぬ負債が自分にのしかかってくる場合があるのです。それでは、いったいどんなトラブルが想定されるのか、例を挙げてご説明します。

不動産登記をしていない所有者不明の空き家

二棟が連なった長屋を例にとってみましょう。一棟には人が居住していて、もう一棟は空き家だとします。築年数が経つに連れ、壁や屋根の修理などいろいろなメンテナンスが必要になります。しかし、その空き家には管理やメンテナンスを行う人がおらず、劣化がどんどんと進んでいき、今にも壊れてしまいそうです。長屋の隣に住む住人は倒壊の危機を感じ、どうにかしてもらおうと、隣の空き家の所有者に連絡を取ろうとします。しかし、調べてみると、元の所有者はすでに死亡しており、現在はだれが所有者なのかわからない…。いわゆる所有者不明の空き家になっていたのです。

そうはいっても、隣の住人は自宅を倒壊させるわけにはいきません。弁護士・司法書士・不動産業者等の専門家へ相談し自身の建物を守る為、倒れかけている隣家の修理を行うことにしました。こうした緊急時の保全行為は、きちんとした事情(緊急性を要しかつ、それ以外に対処すべき方法がないなど)があれば認められており、その保全にかかった費用は当然、空き家側に支払い義務が生じます。隣家の住人は裁判所などを通じて所有者の相続人を探し出し、もろもろの請求書を叩きつけるのです。倒れそうになるまで放置していた空き家ですから、その金額の大きさもそれなりの覚悟が必要でしょう。

自分には関係ないと思っていても、きちんと登記をして所有者を明確にしていない限りは、不動産に関する責務は相続人に等しくのしかかります。曾祖父の名義のままで放置していた物件を、祖父や父親の代できちんと名義変更をしておらず、その父親もなくなってしまい…という場合も、決して無関係ではありません。自分に相続権がある限り、物件の責任はついて回ります。相続放棄をしたくても、すでに放棄できない時期になっていれば、何の言い逃れもできません(相続放棄は、相続発生後3か月以内が原則)

空き家が倒壊して近隣の家に大きな被害を与えてしまったら? 

毎月多額のメンテナンス料が発生していたら? 

ちょっと考えただけでも、トラブルの種がいっぱいです。こうしたリスクを排除するためにも、空き家であっても登記はなるべく早めに行い、しっかりと責任の範疇を明確にしておくことが大切です。また、管理や維持が難しい物件なのであれば、この機会に名義変更を済ませて、売却してしまうもの一つの手でしょう。

今からでも遅くない。所有者不明物件の登記は一刻も早く

空き家の相続は放置すれば放置するほど、問題が複雑化すると言われています。それは、放置期間が長ければ、相続人の数がどんどん増えていき、登記が難しくなってしまうからです。

例えば、ひいおじいさんが名義人となった不動産があるとします。ひいおじいさんが亡くなった当時は、配偶者(ひいおばあさん)と子供3人(おじいさんとその兄弟2人)の4人だけが相続人かもしれません。しかし、そのまま登記をせずに放置すると、今度は3人の子供(おじいさんとと兄弟)に配偶者と子供という相続人が増え、また、その子供にもどんどんと相続人が増え…ということになります。

私、水谷が経験した案件では、最大でなんと68名の相続人がいたケースもありました。ここまでくると、相続人同士はお互いに見知らぬ人であることも多く、連絡を取りつけて事情を説明するだけでも一苦労です。このようなケースでは、登記が無事に終わるまで2年の月日を費やし、司法書士の業務もかなり膨大なものに膨れ上がるため、登記の費用も高額にならざるを得ません。

しかし、どんなに複雑な案件でも、これから先を考えれば、今が一番、問題が軽微で済むのです。名義変更をしていない空き家がある場合は、重い腰を上げて、登記の手続きを始めましょう。

所有者不明の物件は、自分自身にとっても家族にとっても大きな問題になりかねません。先延ばしをすればするほど、問題が雪だるまのように膨れ上がるのが登記問題。「今更、もう遅い」とあきらめずに、空き家所有の責任やリスクの範囲や明確にして、自分や家族に火の粉が降りかからないようにしっかりと自衛されることをお勧めします。

「空き家を譲ってください.com」では、初回30分無料の空き家の登記相談を承っています。気になる物件がある場合は、この機会にぜひご相談ください。

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